沖縄のピーホス問題
米軍基地発生源の泡消火薬剤などに含まれるピーホス(PFOS)という物質が北谷浄水場(水道水)から微量ですが検出されています。
検出理由は水源の一部を嘉手納基地内外の地下水・河川水から取水しているためです。
特に嘉手納基地内を流れる大工廻川(だくじゃくがわ)や井戸からは高濃度のPFOS・PFOAが検出されています。
過去最高値:嘉手納井戸群で1870ng/L、大工廻川で1320ng/L
ピーホスの毒性はまだよくわかっておりません。アメリカの健康勧告値は 70ng/L (国内基準値なし)ですが最新の研究でそれ以下の低濃度でも健康に影響があるかもと言われています。
今のところ水道水からピーホスが 70ng/Lを大きく超えることはありませんが、浄水場でピーホスを完全に除去することは簡単ではありません。
例えばダイオキシン・PCB・放射性物質、重金属は凝集沈殿でほぼ除去ができますが、ピーホスはできなく処理工程の最後の砦である粒状活性炭吸着池まで到達し除去されます(推定除去率80%前後)
北谷浄水場の水道水供給先:那覇市、浦添市、宜野湾市、中城村、北中城村、沖縄市、北谷町(嘉手納町は入りません)
北谷浄水場の凝集剤:硫酸バンド(近々PACに切換予定)注入率:20ppm前後
活性炭は吸着能力が低くなる前に交換または再生が必要で北谷浄水場ではピーホスが検出されるようになってからは交換頻度をあげて対策を講じています。
ピーホス濃度はリアルタイム監視できるものでなく分析(LC-MS/MS)に時間を要するため新たな環境汚染に関して在日米軍が作る日本環境管理基準(JEGS)の強化、漏出など情報提供する仕組みの見直しが必要と思います。
PFOS(ピーホス)とは?
ペルフルオロオクタンスルホン酸の略称で難分解性有機フッ素化合物です
毒性:まだよくわかっていません(低濃度での急性毒性はない)
問題:人における体内残留性があり血清中半減期は 5.4 年(環境省評価値)
特徴:生分解(好気・嫌気)、光分解しなく化学的安定性ある物質で環境中に残存し生物蓄積する
用途:泡消火剤、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤など
基準:国内水道水質基準なし(要検討項目)
飲料水健康勧告値:70ng/L(米国)
※健康勧告値とは、1日2Lの水を70年間飲み続けても大丈夫と算出される値
PFOS(ピーホス)対策
①米軍にピーホス含有の消火剤などの使用中止(そもそも日本では原則使用禁止)
②米軍に廃水処理してもらう
③浄水場で基地周辺の水源(比謝川取水ポンプ場など)の取水停止
④浄水場で粒状活性炭の交換頻度を高めるor増設(現在の対策)
⑤浄水場で原水に粉末活性炭を投入
⑥浄水場で鉄系凝集剤および有効な凝集助剤の添加
⑦浄水場で基地周辺水源のRO膜処理
⑧家庭の蛇口に活性炭浄水器
個人的な見解です。
①②を早急に実施してもらいたいです(現在米軍は泡消火剤の使用・流出など情報提供をほぼしません)
③は過去、取水停止したことがありますが水不足時は困難なためバックアップ可能水量の整備が必要。
④~⑦はランニングコストがかかり水道料金の値上げにつながる。
⑧は個人対策には良いが腑に落ちないです。