今年は未熟豆・死豆が多いのはなんでだろう?
今春までに収穫されたコーヒー豆の状態が悪いという話をよく聞きます。
豆の状態が悪い原因として、夏場の環境(高温少雨)が影響しているのかもしれません。
昨夏の 高温ストレス、乾燥ストレス、光阻害 による光合成の低下で豆に異変が起きたのではと考えてみました。
こちらも参考に( 沖縄コーヒー 光と影)
海外のコーヒーはコーヒーベルトと言われる暑い国で生産されてますが、厳密に言うと暑い国の涼しい場所での栽培が多いです。
沖縄は世界のコーヒー関係者から見ると寒い国というイメージですが、実は夏の気候は他国の栽培環境と比べ過酷です。
沖縄コーヒー栽培 夏の環境下とコーヒーについて
はじめに、ヒトとコーヒーの木の温度感覚は似ています。
ヒトは概ね気温が15℃以下になると暖房、28℃以上になると冷房をいれます。
コーヒーも 15-28℃ の温度帯は問題ありませんが、この温度帯から外れると生育に支障が出てくるため対策が必要になります。
今年も沖縄は大変暑く現在、82日連続の真夏日記録更新中(6/20~現在)です(1890年の統計開始以来最長記録)
①体温調整
ヒトは汗をかいて体温調整していますが、コーヒーも同じことをしており水を根から吸水し葉から水分を蒸散し体温を下げています。ただ、水分が冷却ばかりに使われると光合成はあまりしません。
②気孔の開閉
植物は気孔を通して、葉内の水分を放出(蒸散)し、空気中の二酸化炭素を取り込んでいます。しかし、水分が不足すると葉は水分を逃がさないよう気孔が閉じ気味になり光合成の低下および葉温上昇につながります。
③葉温(leaf temperature)
沖縄の夏のコーヒー葉温は40℃を軽く超えます(太陽光が当たっている無遮光の葉 )
※葉温上昇させる光(赤外線)は光合成に役立ちません
上記のデータから葉温上昇は光合成を低下させます。
夏の高温、土の乾燥の中で過剰・長時間の可視光(光阻害)が加わるとコーヒーの生育に悪影響すると考えられます。
カイガラムシ被害になる可能性が高まります。
光阻害とは?・・・過剰な光により光合成機能が低下すること(最悪時、葉焼けを起こします)
測定器:非接触(放射)温度計
バナナの葉(日向)
夏は直射日光で土壌浅層は乾燥しやすいです。コーヒーは酸素要求度が高く吸収根は浅根性であります。
C3植物であるコーヒーは土の乾燥等で光合成が低下し生育が悪くなると考えられます。
コーヒーは耐旱性(水不足の耐性)が強いと言われますが、高温下では機能しないため夏場は土壌水分に気を付け水ストレス状態に陥らないよう心掛けたいです。
最後に、沖縄は海外のコーヒー生産地と比べると「昼夜の寒暖差が小さく美味しい珈琲は作れない」と言われますが、植物は年月を経て高温耐性を獲得したりと環境に順応していくため今は悲観せず検証と対策をしていけば、沖縄から世界のコーヒーの常識を変えるコーヒー豆ができるものと思っております。