日本国内でコーヒー栽培されている方へ
コーヒー栽培で新たに気をつけたい害虫をお知らせいたします
<コーヒーの葉が部分的に枯れることがあれば下記の害虫を疑ってみてください>
害虫名:コーヒー ゴマフ ボクトウ という蛾の幼虫です
症状:この幼虫は幹の中に入りコーヒーの木を部分的に枯らします
確認:葉枯れが見られたら幹に幼虫が侵入した穴があるか?穴の中に幼虫がいるか?確認をする
処置:幼虫の確認もしくは痕跡があればその部分から木を切ってください(その後コーヒーの木は再生できます)
対策:現在ありません(管理レベルをあげ早期に発見してください)
被害:沖縄で今のところ大きな被害はありませんが アラビカ3品種で確認
成虫である蛾がコーヒーの葉裏に卵を産みますが見つけにくいので、コーヒーの木の幹に入る前の幼虫が出す糞や木くず等から早期発見し除去してください
<考察>
カミキリムシによる被害と似ているため実際のボクトウガによる被害状況はわかりませんが、沖縄で約10年前に幼虫の同定とコーヒーの木の被害確認がされています。
ただ10年前より沖縄のコーヒーの木の栽培本数は増えており、またコーヒーの木の樹皮は柔らかく容易に穿孔しやすいのに現在までボクトウガ被害が問題になっていないのは、ボクトウガの幼虫は材食性が多くないのかもしれません。
そこで肉食性と考えると特性は「樹幹に食い入り樹液を出して集まってきた虫を捕食する」ですが、コーヒーの木はクヌギのような樹液を出さないため好まれないのかもしれません。また、沖縄は茶畑もありますが大した被害はありません。今後は観察と対策を考えていきたいと思います。
コーヒーゴマフボクトウ(Zeuzera coffeae )とは?
科:ボクトウガ科(Cossidae) ゴマフボクトウ亜科(Zeuzerinae)
属:Zeuzera Latreille
【分布】
九州・沖縄本島・石垣島 等
【成虫出現月】
7-10月
【幼虫食餌植物】
アカネ科:コーヒー ツバキ科:茶 等
※本州にも似たような蛾(ボクトウガ)がいます
※ボクトウガは英名でカーペンターワーム(大工の虫)と呼ばれ幼虫は生木を穿孔する
参考文献:市川俊英・上田恭一郎(2010)「ボクトウガ幼虫による樹液依存性節足動物の捕食-予備的観察」『香川大学農学部学術報告』第62号.39-58.